平成18年度
熟年大学
第二回
一般教養公開講座
於:SAYAKA小ホール
平成18年6月15日
熟年からの健康づくりと運動
~地域の仲間と楽しく健康づくり~
体操上級マスター指導員
健康運動指導士
野崎 紀子氏
講演要旨 生涯自立した健康な熟年生活を謳歌できるよう、各々に適した健康づくり運動をみつけましょう。 さらに地域の仲間との楽しいコミュニケーションの輪を広げて、熟年同士のパワフルな健康づくりの場を、熟年仲間自らでつくり上げていきましょう。 |
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あなたはどのパターン?
①よく運動⇒よく食べる⇒元気!筋肉(上昇) 脂肪(下向) 勿論、①が一番いい。 運動の種類とその効果 健康づくりを意識して運動する場合、その種類と効果について次の3つの柱で考えよう。 有酸素運動(ウォーキング) 飽食が過ぎると体脂肪が増える。体脂肪を減らしたいという場合に効果的なのは先ずウォーキングに代表されるこの有酸素運動。主な生活習慣病の予防改善に効果を発揮するのもこれ。 貯筋運動(筋力強化の運動) ウォーキングだけをやりすぎると、体脂肪は減るが、足腰の痛みなどの障害が出てくる恐れがある。いい姿勢で合理的なウォーキングをするためには筋肉を強化する必要がある。 早稲田大学教授の福永哲夫先生は筋力強化の運動を『貯筋運動』として大変興味深く解説されているので、先生の許可をいただいてここに紹介する。 筋肉の貯筋は使えば増え、使わなければ目減りする。年金の貯金と違うところ。しかし、使いすぎるとやはり破産(障害発生)するので使い方の加減が大切。貯筋が多い身体は車でいえばエンジンの大きいことに相当し、エネルギー消費量の多い身体、つまり太りにくい身体といえる。 ほぐしの運動(ストレッチ) 有酸素運動、貯筋運動だけをやっていれば大丈夫かというとそうではない。疲れがたまってくるのでほぐす必要がある。柔軟運動である。ほぐし方にはラジオ体操やリズム体操のようにリズミカルに動いてほぐす方法と、ストレッチのようにじわ~っと引っ張ってほぐすやり方とあり、どちらでもいいが、準備運動では先ず揺さぶってほぐしておいて、それからじわ~っと引っ張る方が合理的だ。運動後の後始末はゆったりとストレッチを。 あなたの中身はどちら? 貯筋の薦め 最近特に問題になっているのが、内臓の周りにたまる内臓脂肪。皮下脂肪も着きすぎると困るが、ある程度は食べられなくなったときの備蓄タンクとして必要。 ところが内臓脂肪が多くなり、高血圧や高中性脂肪、低HDLコレステロール、高血糖などと重なると生活習慣病を発症しやすくなることが分かってきた。これをメタボリックシンドロームという。内臓脂肪はへそ周りを測ることで予想が出来、男性85cm、女性90cmがそのボーダーラインといわれるが、これはかなり多すぎる数字であり、そこまでになる前にウォーキング等で脂肪を減少させる努力をしよう。 「太腿が細くなる体操を教えて」とよく言われるが、細くなればいいものではない。有酸素運動で脂肪を減らして、太腿の貯筋運動で筋肉を発達させることは出来る。体重は変わらなくても、中身が変わってくる。これが運動の効果である。 ただ、トレーニングのやり方で効果は変わってくる。ハードトレーニングでなくても、ずっと続けていれば効果が上がってくる。長い期間かかって培った貯筋は、止めざるを得ない状況になっても貯筋の効果は長持ちするが、短期間ハードトレーニングでためた貯筋はやめると減るのも早い。あぶく銭は身につかない!筋肉もまた然り。私たち熟年の運動はハードでなくていいから、辛抱強く続けたい。 安全で効果的な貯筋運動の注意点 日常生活の中に貯筋のチャンスはいっぱい! 自分の体力要素の弱点を補強しよう 熟大の保健体育科では年度初めと年度末に簡易体力テストを実施して、自分の体力要素のバランスをチェックしてきた。全身持久力・柔軟性・腹筋力・脚筋力・バランス・敏捷性の6項目について、他人と比較するのではなく、自分の維持できている項目と低下している項目を把握し、バランスのいい体力を培うための資料に活用した。 例えば、腹筋、脚筋共に維持できていて、速歩で計測した全身持久力にも優れていても、柔軟性が足りない人は、肉離れ・腱断裂等の怪我を起こしやすいし、筋肉の凝りから腰痛などを起こしやすい。柔軟性は優れているが筋力が低下している場合は、持久力も低下しやすいし、捻挫や、膝痛・腰痛を起こしやすい。自分の努力点を把握してその効果が得られる運動を重点に実践することを大切にしたい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ひとりで自分のための健康づくりに努力することは大事だが、それだけではなく、“友達と一緒にするから楽しい” というやり方が長続きするし熟年にとって生きがいにも繋がることであろう。その先進国の様子を画像で紹介しよう。ヨーロッパではもう100年以上も前から、シニアのグループも含めた地域でのクラブ活動が盛んだ。 形は必ずしも揃ってはいなかったが、一人ひとりのやる気が最高に盛り上がった演技となり、見る人々を感動させる出来栄えであった。何よりも演技した本人たちが一番感動し充実感に浸ることが出来た。 自主活動のパワーはすばらしい! これを私が最初から最後までつくり上げた作品を教えるという体制をとっていたら、これだけ楽しそうに燃えた演技にはならなかっただろう。一人ひとりが少しずつ知恵や力を出し合った結果が大きな力となった成果だと思う。 |