平成17年度
熟年大学
第5回

一般教養公開講座
於:SAYAKA小ホール
平成17年10月20日

 外から見た日本・大阪
〜中国最新情報〜



京都外国語大学 教授

  彭 飛 氏

                    講演要旨

関西に参りましてもう22年となりました。 今日は外から見た日本・大阪プラス中国の最新情報についてお話します。

                
22年前、大阪空港で出口はどこかと、ある中年男性に聞いたら、「チョット」と言いました。 チョット(一寸)とは少しという意味で「チョット待ってください」なのかとずっと待ちましたがこの人は姿を消しました。 何故チョットと言ったか??これは私の22年前の疑問です。

翌日蒲団屋に行って柔らかい枕を買おうとしたら、蒲団屋のオバサンが、また「チョット」と言いました。 その意味は「チョットないですわ・・」だったのです。このチョットない・・は中国語にも外国語にも訳せない日本語の典型的表現で外国人なら誰でも疑問に思うところです。

声をかける時も「チョット・・」、相手の行動を制止するときも「チョット・・」。 「チョット違うよ・・」は相当違うということです。 日本語のチョットは、相手に配慮を示し和らげる意味合いが多いのですが、これを理解するまでには相当な時間が掛かります。

                   

大阪、大阪弁と外国人との付き合い方

大阪弁の国際化のことですが、例えば勉強していますか・?と聞くと、「勉強してま・・」と答えがきます。 これでは「勉強してます・・or・・ません」のどちらかが解らない。 大阪弁は語尾の変化が激しい。 「何々〜してます」の「ス」
が何故抜け落ちたかかは、大きな学問的問題です。

大阪人は
サシスセソを避ける傾向があります。 その代りにハヒフヘホをよく使います。
「行きましょう・・」より、「行きまひょう・・」となりますね。 「そして」は・「・ホンで」・・となります。  アイウエオは下につきます。 口の開きが小さいのです。 東京では「違う」を大阪では、「ちゃう、ちゃう」と省エネ的です。 口の開きが小さいと、語学の勉強が大変です。 中国語の勉強には皆さん苦労しています。  しかし大阪弁はざっくばらんでぬくもりがあります。

日本語では罵倒語が少ない。 その例は、「いいかげんやな・・・」などと言います。 本来は「良いかげん・・丁度いい・・」の筈ですが、それを相手をけなす反対語として使うのは、日本語の大きな特徴です。 これも外国人にはわかりにくい。
「まずい・・」は「美味しいことあらへん・・」と柔らかく否定する、これも大阪風の表現です。
これが大阪弁の特徴です。

日中の教育交流

中国では経済改革と共に教育改革も着実に進んでいます。
今年の3月、日本の小学校の先生と上海の小学校の先生が交流しました。

中国では、どの教室もチョークを使わなくなり、パソコンのプロジェクターで授業をしています。 日本の算数は昔は得意な分野だったのですが、今は教科書も薄くなりました。
しかし中国の算数の教科書の量が多いのに、日本の先生はビックリしていました。

国公立・私立の先生による日中初の算数の交流会では、日本の中学校の内容を、中国では小学校の二年生で教えていることを知り、交流を通じて日本でも教育改革をしなければならない重要性を認識していました。

中国の小学校一年の教科書は漢字は1000字あります。 一年で1000字の漢字を覚えます。日本では、60字。 漢字は中国の文化遺産ですが実用性に欠けています。 
漢字が難しいので必然的に外国語の習得は易しくなります。 漢字は考えるスケールを大きくし、人を落ち着かせます。 日中先生の交流をして、勉強の特訓が必要であるとつくづく考えさせられます。

文化の融合

これは相手の違いを取り敢えず認めることが大切です。 その違いを楽しむ必要があります。 日本の経済人は上手に文化の融合を考えています。 サントリーを中国語で表わすのに「三得利」。 そしてビールも中国人の口に合うよう開発して、「上海」と名づけて地域限定販売しています。 いまや「上海ビール」は、50%以上の販売実績を示しています。 「三得利」の「上海」が日本のメーカーであることを知らない人が多くなっています。 文化の融合もここまでが大切です。 

私も国際結婚ですが、習慣の違いも一つの文化の融合です。 顔を洗うのに、中国人はタオルを濡らして洗いますが、日本人は、手で水を掬って洗います。 こんな事も結婚して初めて理解する点です。 両方の文化を知る国際人を育てるのはとても大切なことです。

日本語の気配り表現のよしあし

配慮表現や気配り表現は先の大阪弁のときにもお話しましたが、外国人に使いすぎると、日本人は一体何を考えているのかと理解されません。

配慮表現は日本の美ですが、プラスの方向より、誤魔化しや責任逃れのために使われると、本当の気配りやぬくもりの良さが消えてしまいます。 21世紀には、この日本語の良さをもう一度復活させる努力の必要があります。
皆さんが国際交流をなさるときも、過剰な配慮表現はカットした方がいいのではないでしょうか。 あまりにも気配りしすぎると、逆効果で自分にも負担になります。

日常生活における日本文化と中国文化

日本人は100%の可能性でも、「大丈夫ダロウ・・」と表現しますが、中国人は、50〜60%でも絶対大丈夫!と言います。 

その他の例は、私の「知れば知るほどはてな日本」の本にも例が書いてあります。
時間がないので割愛します。

スライド上映(省略)

中国最新情報、上海と北京の地域性
●北京と上海の地域性



●中国経済の三つの波


講師未見承




10月 講演の舞台活花