第1回
一般教養科目公開講座
於:SAYAKA大ホール
2019年5月16日
佛の教えと毘沙門さま
信貴山大本山千手院 貫主
田中
講演要旨 |
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七福神随一と言われ、身体健康、家内安全、商売繁盛を求める毘沙門信仰は果たして佛教なのか?私の体験を通じて毘沙門さまの教えを考えてみたい。 |
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1.毘沙門天王・吉祥天女・禅膩師童子三躰で家庭円満を象徴 財宝神―七福神 インド:毘沙門天、大黒天、辮才天 中 国;布袋尊、壽老神、福禄寿神 日 本:恵比寿尊 守護神―四天王 東:持国天 南:増長天 西:広目天 北:多聞天 毘沙門天 毘沙門天は、インドの財宝の神様です。お釈迦様を守る四人の神様の一人です。北を守る毘沙門天、東を守る持国天、南を守る増長天、西を守る広目天です。 また毘沙門天さまは、七福神として扱われました。七福神は鎌倉時代に出来た信仰で、インドの神様三人、中国の神様三人、日本の神様一人です。 毘沙門天さまには、福の毘沙門天と守る毘沙門天がいます。 毘沙門さまは、現ぜ利益(健康、家内安全、商売繁盛)をお願いする神さまです。 仏教は2500年前にお釈迦様がお説きになった教えです。生老病死、人は生れていつかは病気になって死んでいく。人は思い通りにはなりません。 お釈迦様の悟りの基本は、人は我欲を出してはいけないということなのです。 毘沙門さまとお釈迦さまでは違うようであります。 毘沙門さまの有り難さには解りにくい所が有ります。その所を四国遍路で紹介します。 2.四国遍路 @同行二人の信念 金剛杖=弘法大師 A 良い事(+)お加護、ご利益として感謝 悪い事(−)修行、試練、悪因縁消滅として感謝 徳島:発心 高知:修行 愛媛:菩提 香川:涅槃 四国遍路は一番札所から順番に88か所を巡る霊場(道場)で、各道場で写経を書き、それをお供えして(納経)朱印を頂きます。 四国霊場参りの大事な事は、金剛杖を持つ事です。杖は弘法大師さまで、その方と一緒に参る(同行)ということで、杖は大事な物なのです。 四国遍路を歩いて巡るには、40日から50日かかります。その間色々な経験や試練が有ります。悪い事や良い事があります。悪い事が有れば、自分に修行がたらないと誡める。良い事が有れば、お大師さまや毘沙門さまのおかげと段々思うようになってきます。 3.家庭に忍び込む煩悩・魔・障りの恐ろしさ 家庭円満のなかにも魔が有ります。夫婦円満だと思っていても不仲にもなります。円満の中にも魔は入り込む、そのためにどうするか。 4.毘沙門さまの御利益 家庭円満 5.先祖崇拝 自分の一番大事なものは命です。その命のもとは両親です。そのまたもとの命は祖父母です。先祖が一人いなければあなたは存在していません。先祖を30代さかのぼると約10億人になります。先祖から引き継いできた命です、大事な過去が有って未来に引き継ぐのです。命は繋がっています。大事にしてください。 6.布施行 @仕事を通じて自分の持てる能力を社会に還元する−職業奉仕が最上 A信用が第一というのは出る方に焦点があたっている B情けは人の為ならず−呼吸 〔呼吸〕呼=吐く (人の為) 吸=吸う(自分の為) C出入口・出納−知恵・力・金・体・心 布施とは与える事。 人は生きるために呼吸をします。まず吐(呼)いて(人の為)それから吸(自分の為)います。 世の中の眞理は出してから入るのです。 7.先祖崇拝の宗教心と職業奉仕(信用)を通して人格完成を目指します。 剣道・柔道・弓道・茶道・華道・書道・商道など「道」を付けます。 例えば商売には信用が大事で、信用を得るには何年もかかりますが、信用を落とすのは一瞬です。信用を得るには出す方に力をそそぐ必要があります。目的の為にはその過程(道)が大事なのです。モラルが大事です。 8.佛教の基本は三法印 @諸行無常―時間的 A諸法無我―空間的 B涅槃寂静―無限絶対 @諸行無常とは時間的なとらえ方で、物事が変って行く事です。 A諸法無我とは空間的なとらえ方で、例えば池の中の水で、綺麗な水と汚い水の分かれ目が無いのと一緒で、みんなが繋がっている現象です。 『色は無常なり。無常なるものは苦なり。苦なるものは無我なり。無我なるものは「我がもの」に非ず、「我」に非ず、「我が本質」に非ず。正しい智慧をもってこの道理を如実に観察すべし。』 B涅槃寂静とは、ゼロの世界です。ゼロ(0)とは無い、けれども有る。佛の世界は、あそこに有るとか無いとかではないのです。 現実的な現象をとらえてご利益を願うのではなく、何もせずに生きるのではなく、毎日毎日活動して、生活してその中に仏の教えを入れていく事が大事なのです。 そこに毘沙門さまの偉大な力があります。 9.『大欲は清淨を得、大安楽にして富饒なり、三界に自在を得、能く堅固の利を作す』 真言宗では、我欲は良くないが欲が無いと困ります。「自分さえ良ければ」というのは、我欲です。 毘沙門さまは、「先に願って得たる所の者、自の受用を除きて、外捨施を行うべく、貯積して、慳恪(出し惜しみ)を懐うべからず。常に一切有情に於いて大悲心を起し、瞋恚を生ずる事勿れ」 知恵や力などは出し惜しみしてはいけません。知恵や力は天から頂いた物です。 ですから社会のために役に立ちなさい。それが天命ですとおっしゃるのです。 皆さん、最後に、還暦を過ぎてこれからの人生、今持っている知恵、力を身近な人(妻、夫)に還元して下さい。 そうすると大往生します。 |
2019年5月 講演の舞台活花
活花は季節に合わせて舞台を飾っています。
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