平成16年度
熟年大学
第1回

一般教養公開講座
於:SAYAKA小ホール
平成16年5月20日


 〜「菜の花プロジェクト」がヒト(人)・地域を元気にする〜


講師
滋賀県環境生活協同組合
理事長
藤井 絢子

                    講演概要
「廃食油回収」から資源循環型社会へ

琵琶湖のほとりでは、廃食油の回収〜せっけんへの再生利用・ディーゼル燃料化してエネルギーを利用する「資源リサイクル」が各市町村ですすめられています。
家庭で使った天ぷら油は、捨てないで!廃食油はゴミでなくたいせつな「資源」として活用しましょう。
琵琶湖を汚さない「せっけん」・新しいエネルギー「バイオ・ディーゼル燃料」にリサイクル。
毎日の暮らしのなかでできることから、琵琶湖の水や土壌に負荷をかけない暮らし方、環境にも自分のからだにもやさしい「エコ・ライフ」を・・・
 

講演の要旨

                    

ちょっとスタートに質問なんですが、皆さん今日車でお越しの方どのくらいいらっしゃいますか。 その車のなかでディーゼル車に乗っておられる方手を挙げてみてください。
                      

いらっしゃいませんね。 これがもしドイツとかヨーロッパの国々では半分以上ディーゼルに乗っていると手を挙げられます。  最近とても嬉しい本がでましたが、そのタイトルは「ディーゼルこそが地球を救う」です。 この本の中で、「菜の花プロジェクト」を取り上げていただいています。 今から100年前のパリ万博で発表したルドルフ・ディーゼルは、このエンジンをピーナツ油で動かせました。 73年のオイルショックの時、ドイツでは、化石燃料の代りに、農地にエネルギー作物、菜種を蒔いてその菜種油をディーゼルエンジンの燃料にしたのです。 そして、ルドルフ・ディーゼルの構想が100年の眠りから醒めて、現代に実を結びつつある。 それが「菜の花プロジェクト」として紹介されたのです。

では・・・・・

1.菜の花プロジェクトって何?
1)菜の花プロジェクトの歴史
  【第1ステージ(1976〜1992】
   -廃食油を回収し、せっけんへリサイクルする資源循環サイクルづくり-
  【第2ステージ(1992〜1998)】
   -廃食油の再利用によるBDF(軽油代替燃料)精製活用への展開-
  【第3ステージ(1998〜2002)】
   -転作田利用による菜の花栽培にまで広げた資源循環サイクルづくり-
  そしていま【第4ステージ(2002〜 )】へ

2)菜の花プロジェクトの仕組み

    配布レジメに記載(省略)

3)菜の花プロジェクトの広がり
  • 47都道府県中、約30道県で何らかの活動展開中
  • 「資源リサイクル」「交通・物流」「農業振興」「産官学民のパートナーシップと地域活性化」などの展開
2. 菜の花プロジェクの広がり
1)「大量生産・大量消費・大量廃棄」に変わる「21世紀型産業社会」形成
  • 20世紀型産業社会の後始末を「大量処理型」で解決するのでなく、地域のことをできるだけ地域で解決していくという「自立分散・資源循環」の21世紀型産業社会のビジョンを住民に具体的に提示してゆく。
  • 問題解決を他人任せにするのでなく、まず自分たちの地域での問題としとらえ、「問題対処型」ではなく「問題未然防止型」の仕組みを取り組みの中で考える。

2)「中央主導による地域振興」に代る「地域イニシアティブによる地域振興」
  • 20世紀型の「官僚主導」に代り、生活の場である「地域」「現場」に足をつけた発想と行動と責任に基づいた「地域イニシアチブによる地域づくり」を進める。
3)資源循環型社会の「具体的な地域モデル」づくり
  • 新しい世紀の始まりの時期にもかかわらず、重苦しい閉塞感が漂う中で、未来に向かいあって明るい夢を語ることのできる、手応えのある具体的な地域の未来ビジョンをしめす。
  • 多様な地域の知恵と行動が反映され、ひとびとの参加自由度が高く、運動の柔軟な広がりと懐の深さを持った地域モデルづくり。
3. 菜の花プロジェクトの可能性(不可欠な「農の多面的機能」活用の具体的展開
  • 1) 食の安全性の確保
  • 2)地域にある再生可能エネルギー資源の再評価
  • 3)農地、里山、森林等の保全
  • 4)土壌汚染、大気汚染、水質汚染の防止
  • 5)地球温暖化の防止
  • 6)地域の総合学習、地域教育
  • 7)地域コミュニティの再構築
  • 8)農業の再生と新産業振興、雇用の創出
  • 9)地域振興
  • 10)平和的国際貢献
                   

今、農地を油田にしたいと思っています。農地、森、そういったところは、日本では全く使われていませんから、このような場所に目を付けてゆけば、私達の世代はやる事がもっともっとあります。 2001年の21世紀の幕開けはもっと明るくあって欲しかったのですが、ほんとうに大変な時代の始まりで今なお大変です。 国の政治の状況がこれですから、やはり地域から変えなければなりません。

誰かが気付いて動けば地域が動く。 私一人でやっている運動では全くありません。 私がやっている中で応援団が出てきます。いろんな方が応援団としてついてくれるようになりました。 そういう方たちが味方になってくれることで、小さい町から始めた菜の花プロジェクトが今は、怖いくらいに動いています。 

そのような地域のことを書いたのが、「菜の花エコ革命」の本ですが、全国を歩いてみて、こんなに元気な人たちがいることを知り大変嬉しくなってしまいます。

そのことで応援してくれたのが内橋克人氏です。 内橋さんが仰ってることは、FECFood(食べもの、 Energy(エネルギー),Care(福祉のケアーだけでなく地域の人間関係)それを自分達の地域でキッチリ作り上げることが元気になるには大事だとのご持論です。 その内橋さんが、実際に動いている人たちの「菜の花プロジェクト」を応援してくださっています。

この秋に一粒というよりチョット粒の菜種を蒔いて、来年の春に向けて狭山でも皆さんのパワーで、この菜の花プロジェクトの第一歩が開いてくれると本当に嬉しく思います。その春3月27日に淡路島の五色町で第五回の菜の花プロジェクトのサミットを開きますので、是非皆さんもご参加ください。


5月講演舞台活花