平成14度
熟年大学
第五回
一般教養公開講座
於:Sayaka小ホール
平成14年10月17日
【先進国の社会保障の概観】
〜年金と医療を中心に〜
講師
大阪市立大学大学院
生活科学研究科教授
坂口 正之 氏
社会保障制度の国際比較は難しいが
欧米諸国の社会保障制度の枠組みを特徴づけ
さらに、留学の経験を踏まえながら、イギリス
の老齢年金制度と医療保障制度を中心に
日本との相違点についてお話します。
世界の社会保障を・・との事だが今日は英国を中心にお話します。 イギリスの場合 イギリスは、緑と公園と教会、それに煙突が多いな・・・との印象が深い。 社会保障法として最初に現れたのは、1935年のアメリカ連邦社会保障法だが、イギリスにおけるそれは、1942年のベヴァリッジ報告を基礎として、第二次大戦後に制度化された。 ベヴァリッジは、世の中には巨大な五悪(Five Giant
Devils)即ち、欠乏、疾病、無智、陋隘(ろうあい)無為があり、これを取り除く一連の政策が必要であると提起し、つまり これらの広く5つの政策を含むものがSocial Policy(社会政策)であり、イギリスでは社会保障と区別して比較されねばならない。日本の社会保障と比較するなら、広義の社会政策と比べる方がよいだろう。然し日本と異なる点は、教育と住宅政策が含まれている事だ。 即ち家族手当(児童手当)、包括的保健医療サービス、完全雇用制度の三つであり、1948年から現行の国民保健サービス制度(医療保障)が始まった。 日本の場合、1950年の社会保障審議会勧告は、ベヴァリッジ報告書に大きな影響を受けており、イギリスのベヴァリッジ案との差異は、医療保障制度を二元論的に捉えていない点で大きく異なる。 社会保障の体系 レジメ記載 具体的な年金額だが、国家第二年金が導入され、低水準の付加年金SERPSに置き換えられている。 ドイツの場合 主として労働者年金保険と職員年金保険がある。 給付⇒省略 スエーデンの場合 特徴 中央政府による社会保険、所得保障 アメリカの場合 メディケア・メディケイド等の高齢者は低所得者向けの医療扶助はあるが、一般国民に対する医療については公的な社会保障は無い。
多数の中の個【Individual】としての自分があると言うのが個人主義である。日本の場合は利己主義と言うか、自分が努力してそれが如何に反映されるかのみを考えて、自分の努力が社会の成果として達成されている視点が抜けている。 先進国の年金を考えるとき、個人的な損得の視点が少なくて、社会の中でその時代に経済的に貢献をして、その時代の成果を高齢的にどう配分して行くかの視点で年金制度が成り立っているのが特徴であると言える。 |